「自己株式の取得」で株価は上がる!?2019年は自己株式の取得をする企業が多数!!

 

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・自己株式取得とは?

 

・自己株式取得で株価は上がるの?

 

・2019年に自己株式取得を発表した企業は?

 

そんな疑問にお答えしていきます。

この記事では、「自己株式取得って何!?自己株式取得で株価が上がるって本当??」と考えている方に向けて、「自己株式取得」の内容や実際の株価推移をもとに解説します。

 

学べること

・自己株式取得について

・「自己株式取得」発表後の株価推移について

・2019年に「自己株式取得」を発表した企業

 

では、「自己株式取得」について学んでいきましょう!!

 

「自己株式の取得」とは?

 

「自己株式の取得」とは、自分の会社の株式を投資家から買い戻すことです。

上場している会社の株式は、株式市場で流通しています。

上場する際に、「うちの会社の株式を1,000万株売りに出しますよ!!会社が成長すれば配当も出るし、株価も上がりますよ!!」と株式が市場に売り出されます。この時、「投資するに値する」と判断した投資家が売り出された株式を買うことになります。

その後、利益確定や損切りなどによって、株式は売りに出されては、買われて投資家から投資家へと渡っていきます。

この流通している株式を「今、出回っているうちの会社の株式を、うちの会社で買い取りますよ!」というのが「自己株式の取得」になります。

 

自己株式を取得する目的は?

 

主な目的は2つです。

① 株主への還元

② 余剰資金の有効活用

 

株主への還元

 

自己株式の取得は、市場に流通している株式を買い戻すため、1株あたりの価値が上がることになります。

市場に1,000万株が流通している場合に、半分の500万株を買い戻すと、市場に残る株式数は500万株になります。つまり、1株あたりの価値が2倍になります。

 

【1,000万株が市場に流通しているケース】

純利益10億円では、1株あたり純利益は100円となります。

10億円 ÷  1,000万株 = 100円

【500万株が市場に流通しているケース】

純利益10億円では、1株あたり純利益は200円となります。

10億円 ÷  500万株 = 200円

 

1株あたりの価値が上がれば、必然的に株価の上昇要因となります。

これまで1,000円で売られていた株式の価値が2倍となれば、投資家は「買い時だ!」と考えるため、株式へ多くの買いが入り、株価が上昇していきます。

 

余剰資金の有効活用

 

自己株式の取得は、企業側にもメリットがあります。

本来は、企業に余剰資金があった場合は、設備投資やM&A(企業買収)によって更なる企業成長を目指すことなります。

しかし、設備投資をしても生産効率の向上は期待している程ではなかったり、買収したい企業がいなかったりした場合は、無理に投資をするべきではありません。この時、せっかくの余剰資金は、銀行の0.001%という低利な普通預金に預けられることになります。

そこで、登場するのが「自己株式の取得」です。

もし、株主への配当金が5億円であれば、1,000万株のうち500万株を買い戻せば、翌期からの配当金は半分の2.5億円となります。

翌期以降は毎年、配当金の2.5億円を支払う必要がなくなるため、配当金の削減に繋がります。低利な銀行預金に置いておくよりも、余剰資金を有効に活用することができます。

もちろん、株主の配当金は減ることはないので、株主にとってマイナスにはなりません。

 

「自己株式の取得」発表後の株価は?

 

自己株式の取得は、株主にとって1株あたりの価値が向上するため、株価上昇の要因となります。

では、具体的に「自己株式の取得」を発表した企業の株価推移を見てみましょう。

 

(引用:カシオ計算機株式会社HP ニュースリリース)

 

2019年6月3日、カシオ計算機は「自己株式の取得」を発表しました。

翌日(6月4日)の株価は、1,235円(終値:前日比+20円/+1.6%)と大きく上昇。その後も株価は順調に上昇していきます。

 

 

 

(引用:カシオ計算機株式会社HP ニュースリリース)

 

7月1日に同社は、「自己株式の取得状況」を発表しました。内容は、自己株式の取得上限400万株(50億円)に対して、約298万株(約39億円)を取得したことです。

この時点で、自己株式の上限取得株式数に対して、74.5%を取得したことになります。

つまり、残る自己株式の取得は、約25%(約100万株/約11億円)のみとなります。これまで潜在的な買い圧力が50億円分あったものが、この発表により、約11億円分に潜在的な買い圧力が減少しました。

株式の買い圧力が減ることで、今後の株価上昇の期待感が薄れるため、株価が下落しやすくなります。

では、実際のカシオ計算機の株価推移を見てみましょう。

7月1日、株価1,365円(終値)でしたが、「自己株式の取得状況」発表された翌日(7月2日)の株価は、1,348円(前日比-17円/-1.2%)と大きく下落し、その後は下落トレンドとなります。

 

 

その後同社は、7月5日に「自己株式の取得終了」を発表します。

自己株式の取得を終了する理由は、単純に当初発表していた「取得価額の総額」の上限まで株式を取得したからです。

当社は、50億円分の株式を取得すると発表していました。

そして、7月5日の終了発表では、「株式の取得価額の総額」が49億9,994万円となっています。

50億円との差額は数万円であり、当初の目標通りの取得価額まで買い集めたことになります。

 

(引用:カシオ計算機株式会社HP ニュースリリース)

 

 

7月5日の「自己株式の取得終了」発表後の株価は、下落トレンドとなりました。

大きな買い圧力がなくなり、株価上昇期待が薄れたことから、売り方増えたことが伺えます。

このことから「自己株式の取得終了」発表後は、株式の取得や保有継続は得策でないと言えます。

 

なぜ「自己株式の取得」の発表で株価が上昇するのか?

 

「自己株式の取得」発表により、1株あたりの価値上昇が期待されるほか、株式の買い方が潜在的に存在することになることが大きいでしょう。

以下で、分かりやすくまとめました。

①1株あたりの価値が上がる

②自己株式を取得するための「買い」が入る

③「買い」が入ると分かっている銘柄は「売りにくい」ため、売り圧力が減る

 

また、「自己株式の取得終了」は「株式の売り」タイミングと捉えることもできます。

利益が出ている人は、利益確定をするタイミング。含み損を抱えいてる人は、損切りするポンイトにすると良いかもしれません。

さらに上級者は「空売り」を仕掛けて、売りから入って利益を取りに行くこともできるしょう。

「自己株式の取得終了」は、潜在的な買い方の消滅、買い方の減少、売り方の増加等が容易に想定できる状況となるため、慎重な投資判断が求められます。

また、上記で説明した「カシオ計算機」の株価推移を見ても、「自己株式の取得状況」発表から「潜在的な買い圧力」がどれだけあるのかを自身で考えていくことで、「取得終了」発表前に利益確定を行うことができます。

「取得終了」発表がされてから株を売ったのでは、遅いとも言えます。勝つ投資家になるためには、より早い段階で仮説を立て、利益確定ポイントを探すことが必要となります。

 

2019年に「自社株式の取得」を発表した主な企業

 

最後に、2019年に「自己株式の取得」を発表した主な企業を紹介しておきます。

 

・リクルート【6098】3,000万株:800億円

・カシオ計算機【6952】400万株:50億円

・伊藤園【2593】38万株:20億円

・東京海上HD【8766】625万株:250億円

・DeNA【2432】3,800万株:500億円

・伊藤忠商事【8001】4,000万株:700億円

・三井不動産【8801】800万株:160億円

 

その他にも大手企業が自己株式の取得を発表しています。

気になる会社が自己株式の取得を発表していたら、チャンスかもしれませんね。

 

 

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