・「派遣」と「請負」の違いは何?
・「請負」とは?
・「請負業」の上場企業は?
この記事では、「派遣と請負の違いは何か?」について解説していきます。
「派遣」と「請負」の違いを明確にすることで、ビジネス面でのメリット、デメリットを理解することができます。
知ることができる
・「派遣」と「請負」の違いは何か?
・人材派遣業、請負業の上場企業はどこか?
「派遣」と「請負」とは何か?
「派遣」と「請負」の違い
1.労働者との指揮命令関係が違う
派遣:派遣先企業が労働者へ指示・命令する
請負:請負(受託)企業が労働者へ指示・命令する
2.提供するものが違う
派遣:労働者を提供する
請負:業務上の成果を提供する
「派遣」と「請負」の最も大きな違いは、労働者との指揮命令関係にあります。
「派遣」は、派遣会社が雇用する人材を派遣先企業へ派遣します。派遣先の業務では、派遣先企業の業務責任者から業務上の指示や命令を受けて仕事を行います。
「請負」は、発注元の企業から業務を受託し、業務自体を請負することになります。受託側(受託企業)は、受託した業務を遂行するため、必要な人員を手配し、受託企業の業務責任者が業務上の指示や命令を行います。
つまり、「派遣」は労働者を提供するに留まり、「請負」は受託した業務から生み出される成果を提供することになります。
人材派遣といえば、人気ドラマの「ハケンの品格」が有名です。人材派遣会社から派遣されたスーパー派遣社員の大前春子(篠原涼子)が仕事上の様々な問題を解決していく作品でした。
大前春子は、人材派遣会社から大手飲食商社へ派遣されており、大手食品商社の上司から指示、命令を受けて業務を行っていました。
業務効率化や人件費を抑えるため、事務作業といった補助的な業務は派遣社員に任せており、正社員は会社の売上に直結するような業務に注力し、業務上の線引きが明確となっていました。
当然、一般的な企業でも安定した経営を行うため人材派遣を利用している企業は多くあります。
「請負」のメリット・デメリットは?
「請負」のメリット
2.人材管理が不要
3.労災上の責任を回避できる
4.業務上の指示、命令が不要
「請負」のデメリット
2.業務自体を委託するため委託先企業の信用力、業務遂行能力の見極めが必要
企業経営をする上で、人件費は固定費となります。その固定費を変動費にできるのが、人材派遣や業務委託(請負)となります。
人件費は、売上が減少した場合も関係なく一定の支出が必要となる固定費です。現代の経営戦略では、固定費を変動費化していくことで、売上の変動に対応することが求められています。そして、人材派遣や請負を利用することで、人件費(固定費)を外注費(変動費)に転換することができ、変動費経営を実現することができます。
また、請負により業務自体を委託することで、業務上に必要な人材の労務管理や人材募集・採用、退職手続き、人材育成、労災手続きなどを一括して請負企業(受託企業)へ任せることができるため、発注企業は業務効率化を図るとともに、余計な費用の削減も可能となります。
時流に乗った言い方では、業務委託(請負)は、業務をアウトソーシングすることができます。
人材派遣と違って、業務に付随した部分や労務管理を一括して請負企業へ委託するため、単純な人材派遣よりも請負料金(業務委託料金)は割高になります。しかし、業務効率化や労務管理責任を切り離すことで、創出される生産性の高い業務や労務上リスク回避を勘案するれば、発注企業にとって割高ではないかもしれません。
また、委託する業務内容によっては、業務上の知識、経験が必要なものもあります。業務委託する先の企業が、業務遂行能力があるのか、業務上の成果を生み出すことができるのか?といった見極めは必要になってくるでしょう。
人材派遣業・請負業の上場企業はどこか?
人材派遣業や請負業をメインとしている上場企業はどんなところがあるのか?
代表的な企業を例として、次に記載しておきます。
製造請負業の上場企業
アウトソーシング(2427)
製造系・技術系・サービス系のアウトソーシング業務を国内外で展開
ワールドホールディングス(2429)
ファクトリー業務、テクノ業務の製造請負、人材派遣
UTグループ(2146)
半導体製造、自動車製造の製造請負に強み
人材派遣業の上場企業
リクルートホールディングス(6098)
海外への人材派遣に強み
パーソルグループ(2181)
人材サービス業界トップクラスの規模
人材派遣業の上場企業は、リクルートやパーソルといったBtoC(一般消費者向け)のビジネスモデルのため、テレビCMでも良く聞く企業です。
一方で、請負業をメインとしている企業は、BtoB(企業向け)ビジネスのため、あまり耳にしない企業があったのではないでしょうか?
現代の経営戦略では、人材派遣や業務委託(請負)によって、人件費を変動費化することで、効率的な経営を実現しています。今後もその流れは継続していくものであり、上記に記載した上場企業のニーズは無くなる事はないでしょう。
企業経営をする上で、人材派遣を利用するのか?それとも業務委託(請負)で業務をアウトソーシングするのか?それぞれのメリットやデメリットを把握した上で、上手く利用していくことが必要でしょう。